深夜、腹が減った。
即席のカレーうどんがあったはずだ、湯を沸かして食おう。
シンクには水に浸しただけの食器やフライパンがいっぱいだ。
...洗うのめんどくさいな、じゃあ食わなくていいか。
その程度の食欲だった。
だけど、湯を沸かせる鍋だけは既に洗ってあったのか、そもそも使ってなかったのか綺麗な状態で置いてあった。
「まじかよ」
この言葉には二つの意味があった。
洗わなくていい、ラッキー、食えるじゃん。
結局食うハメになってしまった、洗い物も増える、使っとけよ。
人は時として相反する感情を同時に抱く。
これを深夜カレーうどんの法則と呼ぼう。
カレーうどんは美味かった。だから後者の感情は忘れる。そうして都合の良い記憶だけを残して、また大人に近づく。